『暮らしの道具として』
ヘビー・ビューティをこよなく愛する施主の意向により、繊細さよりも
無骨さ、豪華さよりも素朴な美しさを目指して計画された。おのずと建物は
ごくシンプルな箱の組み合わせであり、プランは1・2階ともにワンルームの
ような使い勝手となっている。道路面はガレージシャッターとオートバイの
乗り入れのための出入り口がL字に設けられ、ガレージ棟の奥に中庭をはさんで
2階建ての住宅棟が配置されている。
敷地レベルは道路から80cm程度高くなっているが、それぞれの棟の高低差が
勾配屋根と相まって建物の外観にリズムを生み出す。採光は主に中庭とそこに
面する吹抜けから室内全体に行き渡るようにし、道路側は車の騒音を考慮して
最低限の窓配列とした。
『あたりまえに古びていくこと』
木材・鋼材・レンガ・真鍮。これら建物を構成する素材は出来る限り、ありの
ままの表情を損なわないよう配慮されている。材料の持っている癖・模様・色合い。
それらは本来、同じものはひとつとなく、それぞれが特別な味わいを作り出す。
年月と共に変化していく様を眺めるのも、この家の楽しみ方のひとつである。
1F 2F
完工後の翌年に
玄関前に草木を植えました。